2012年1月29日日曜日

高江再訪

防衛局の作業員とパワーショベル(ユンボ)
前日まではハンドマイクで相当な音量だったが、
新聞記事にされたため、この日はマイクなし

翌日26日、「リュウキュウガネブ」ワインの試飲会まで時間があったので、
沖縄自動車道をとばして、再び高江に行く。

重機をともなった防衛局の作業員が多数やってきていて、
座り込みをやめて、ゲートを通してほしいと叫んでいた。
前日まではハンドマイクを使った、騒々しいものだったのだが、
マイクを使った「騒音攻撃」を批判する記事が地元沖縄の新聞にのったため、
この日はマイクなしとなったようだ。
新聞の効果絶大である。
中央の新聞、マスコミがもっとここで起こっていることを伝えてくれればいいのだが、
日米同盟を深化させたい彼らには無理なんだろうなあ。

ぶらぶら猫と連れ合いも、お昼までのほんの30分程度だが、
テントの中の座り込みに参加した。

それにしても、座り込みを続ける方も、防衛局の言いなりに叫び続ける方も、
何でこんなことに労力を消費しなくてはならないのだろうかと思う。

今、日本各地では、権力を持った強者が、弱者を排除することが行われている。
江東区堅川河川敷からのホームレス閉め出し、経産省前のテント立ち退き命令、
そしてここ高江。

権力は一体、何のために? 誰のためにあるのか?
ささやかに、静かに暮らそうと思っている人々の暮らしを守れないどころか、
破壊するような権力などいらない。


防衛局作業員の「工事車両を通してください」の連呼に耐える、座り込みテント内部の様子




2012年1月28日土曜日

オーベルジュ・ボヌシェール・ラウー再訪

沖縄本島、恩納村のオーベルジュ・ボヌシェール・ラウーを再訪した。
今回は連れ合いも一緒である。

オーナーシェフの中田氏の料理に舌鼓を打ち、ワインを楽しんだ。

今回は、沖縄自生のヤマブドウ「リュウキュウガネブ」から造られたワインの試飲会に出席し、「リュウキュウガネブ」を育てている畑も見せていただくことになる。

前菜の盛り合わせ
(ピンボケですみません)

ニンジンのスープ
色が黄色いのは「島ニンジン」だから

肉料理のビーフシチュー
しっかり煮込まれています

今回はニューワールドのワイン
チリのモントグラス クアトロ レゼルバ 2010

その名の通り、カベルネ・ソーヴィニョン、メルローなど
4種のブドウのブレンド
香り、コクが良い

食事前に中田氏が持ってきてくれた
沖縄のヤマブドウ「リュウキュウガネブ」

2012年1月27日金曜日

高江〜座り込み

沖縄本島北部、国頭郡東村高江まで足をのばした。

人口約160人の高江は、現在、米軍のヘリパット建設が進められようとしており、
これに反対する村民や日本各地から集まった有志が、工事をさせまいと、
建設予定地のゲート前にテントを張って座り込みを続けている。

ここ数日も連日のように、沖縄防衛局の委託業者が重機とともにやってきて、
「座り込みをやめて、ゲートを通す」ように叫んでいく。

少しでも激励しようと、その現場にかけつけたのだ。

宮古島からの便が那覇空港に着いたのが13:00過ぎで、それから向かったので、
高江に着いたのは16:00近く。すでに防衛局は引き上げたあとだった。

座り込みの最前線
拡声器を使った「撤去要請」に
ひたすらじっと耐える

ゲート前の封鎖現場

別のゲート前のテント

2012年1月24日火曜日

2012年初の宮古島入り

家の前にひろがるサトウキビ畑でも
キビ刈りが始まっていた。


大寒時期の避寒にと、今回は連れ合いと一緒に宮古島入り。
雪の関東と比べると暖かいが、けっこう寒くて天気が悪い。

残念ながら宮古島は、23日だけ。
挨拶できずに帰ってしまう方々、
申し訳ありません。

そのあと沖縄本島に2泊して、
「沖縄のロマネコンティー」を飲んで
帰る予定。

あと、高江が大変なことになっているので、
時間が合えば、かけつけたいところ。

2012年1月20日金曜日

沖縄の香りのする?ワイン

香川県の酒屋さんに18日に注文したワインが、早くも19日夕に届いたので、さっそく味わってみた。


注文したワインは「Sauvageonne Savoureuse(ソヴァジョーヌ サヴルーズ)」。香川大学農学部の望岡亮介教授が研究開発した「香大農R-1」というブドウからつくられたワインで、「さぬきワイナリー」で醸造されたものだ。


沖縄ブドウの遺伝子を受け継ぐブドウから造られた
Sauvageonne Savoureuse(ソヴァジョーヌ サヴルーズ)」
名前の意味は「芳しき野生の乙女」
ほんとに芳しかった!!




ぶらぶら猫が、なぜこのワインを飲みたいと思ったかというと、このワインには「沖縄のDNA」が入っているのからだ。「香大農R-1」は、沖縄に自生するヤマブドウ「リュウキュウガネブ」に「マスカット・オブ・アレキサンドリア」を交配させてつくられたブドウ品種で、いわば、半分は琉球の血が流れているのだ。


ブドウ&ワイン造りには、乾燥と、ある程度の冷涼な気候が求められるため、沖縄では無理だと思われているが、この「リュウキュウガネブ」という沖縄生まれのブドウをうまく使えば、沖縄でのワイン生産も夢ではないかもしれない。実際、昨年12月に訪問した恩納村のレストラン「オーベルジュ・ボヌシェール ラウー」の中田浩司オーナーシェフが、「リュウキュウガネブ」を栽培してワイン造りに成功している。ぶらぶら猫も、来週、中田氏のワイン「涙(ルイ)」を試飲しに沖縄に行く予定だ。


さて、「Sauvageonne Savoureuse」。日本の野生ブドウの色素の濃さ、とくに「リュウキュウガネブ」の濃さは噂には聞いていたが、マスカットとかけ合わせた「香大農R-1」からつくられたこのワインも、しっかりとした濃紅色。その色素は、ワインの脚とともにグラスにしっかりと付いて残るほど。このグラスに残った色は、濃紅色というよりは、きれいなピンクに近い色。


濃厚な色素からも分かるように
ポリフェノールやアントシアニンなどの
機能性成分の含有量がずば抜けて高い




香りはなかなか良く、良質のワインを期待させる(すいません、ぶらぶら猫はワイン好きだが、「ベリーのような香り」とかなんとか形容するのは苦手)。


味は、濃厚な色とは違って、きわめて軽やかで、飲みやすい。やや酸味が強いか? ただ、中田氏の「涙」の場合、1年以上寝かせると味が格段によくなったというから、熟成させた方が酸味がとれてまろやかになるのかもしれない。


お気に入りの1本にするには、まだちょっと足りない面もあるが、沖縄ワインの可能性を感じさせるワインだ。


「リュウキュウガネブ」は、その色の濃さからも分かるように、ポリフェノールやアントシアニンなどの機能性成分の含有量が、ふつうのブドウと比較して、ずば抜けて多く、ワイン以外にも、さまざまな食品に利用できそうだ。

2012年1月16日月曜日

電動バスに乗った!!

慶應義塾大学が、神奈川県や神奈川県バス協会、メーカーと共同で開発した電動フルフラットバス「SAKURA」に試乗してきた。JR蒲田駅〜羽田空港国際線ターミナル間の往復試乗会に参加してきたのである。

テレビなどでも紹介された電動スーパースポーツカー「ELiica(エリーカ)」をつくった研究室が中心となって、神奈川県などとともに進めているプロジェクトで、8つのタイヤにインホイールモーターを組み込み、バッテリーやインバーターなどの機器類をすべてシャシーフレーム内に納めた、シンプルな構造が特徴である。タイヤが小さく、エンジンがないために、床がフラットで乗り降りしやすく、エンジン音やギア変速による振動もなく、当然、排ガスを出さないため環境にもやさしいと、いいことずくめのバスなのである。

ぶらぶら猫は、前からこのプロジェクトに注目していた。電気自動車については、ここ数年の「エコカー」ブームで、いくつかのモデルが登場しているが、慶應義塾大学電気自動車研究室のELiicaやSAKURAが、一番、先端的で、将来性のある試みに思えるのだ。あのポルシェを圧倒するパフォーマンスをもつEliicaの技術を使ったバスを、ぜいひとも宮古島で走らせてみたい。宮古島の隅々に環境にやさしい電動バスを走らせたいというのが、ぶらぶら猫の夢だ。

宮古島は電気自動車にちょうど良い島である。島を1周しても100km足らず。高速道路もないこの島では時速100kmも出れば十分過ぎるだろう。幸い、宮古島市も「エコアイランド宣言」をして、環境重視の島を売り込もうとしているし、そのシンボル的存在として、風力発電機やメガソーラー発電所の実験施設もある。宮古島の自動車をすべて電気自動車にし、太陽と風だけをエネルギー源とする自立した島を目指してほしいと思っている。そして、自家用車だけではなく、島のどこへ行くにも便利な公共交通機関があったらいいなといつも思っている。子どもの多い宮古島でも高齢化が進んでいる。車の運転できない者も1人で自由に動き回れる島にしたい。また、それは、車を運転するぶらぶら猫にとっても、気軽に街まで飲みに行けるというメリットを与えてくれる。

さて、今日試乗したSAKURAである。まず、内外装のデザインがすばらしい。常々、日本の公共交通機関のデザインはひどいものが多いと思っている、ぶらぶら猫にとって、SAKURAは期待通りの出来に仕上がっている。聞くと、いすゞ自動車のデザイン室の手によるものというから驚きだ。やればできるじゃないか、なぜ、現行のバスはひどいものばかりなのだろうか?
スマートで格好いい車体。見た目は意外にコンパクト
産官学共同プロジェクト

非常口は後面にある




電動「フルフラット」バスをうたうだけあって、前から後ろまでフラットな床が広がっており、乗降もしやすそうだ。シートや内装デザインも、従来の路線バスのものとは雲泥の差がある。




フラットな床と明るい室内

コックピットのインパネも近未来的!?

しかし、ここでどうしても比較してしまうのが、パリのRATP(パリ交通公団)のバスなのだ。RATPのバスは、ルノー社製の内燃機関のバスだったが、床がフラットで広々しており、内外装のデザインもすばらしかった。SAKURAは、使い勝手、デザインセンスとも、日本の従来のバスからは大前進だが、パリのバスと比較すると、それほど進んでいるとは思えない。広さという点では、むしろ、まだ劣っているともいえるレベルだったのが残念だ。


乗り心地については従来のバスとは比較にならないくらい、静かで滑らかだ。ただ、どうしてもロードノイズはあるし、サスペンションも意外にゴツゴツと硬く感じられた。この辺り、もう少し、改善点もありそうだが、何はともあれ、排ガスを出さない電気自動車であるというだけでも、夢のような、いや、夢では終わらせたくない乗り物だ。


研究室のページを見ると、もっと小型のモデルの可能性にも言及しているから、きっと、宮古島にぴったりな、クリーンで、格好いいバスも作ることができるだろう。




RATP(パリ交通公団)の主役、RENAULT AGORA(ルノー・アゴラ)
ぶらぶら猫のパリ滞在時は最新モデルだったが、
2005年で生産終了したとのこと。




RENAULT AGORA(ルノー・アゴラ)は1995〜2005年のモデルだが、
床はフラットで広々、窓も大きくて明るい


世界のカバン博物館

先日、修理に出したスーツケースを引き取りに、再び浅草にある「エース株式会社 東京店 カスタマーセンター」を訪問。創業210年の「駒形どぜう」のすぐ近くだ。

キャスター4個を交換して¥14,700なり。まあ、大型のスーツケースなので、新品を買うよりは安いが、それにしても……

ところで、この「エース株式会社 東京店」の7階には、世界のカバンを集め、カバンの歴史が学べる「世界のカバン博物館」が併設されてあるので、せっかくの機会なのでのぞいてみた。入場料は無料。1階受付で、入館証とパンフレット、それにアンケート用紙とボールペンを受け取る(ボールペンは記念にもらえる)。

カバン博物館は、エース株式会社の創業者である新川柳作氏が「世界中のカバンを集めて、その文化や風俗を知ってもらおう」との目的で1975年にオープン、2010年に大幅リニューアルを受けた。

「世界のカバンを集めた」と言うとおり、欧米のカバンだけではなく、アジアやアフリカの「カバン」のコレクションも充実しているのが面白い。また、作家の吉川英治愛用のカバンや柔道の山下泰裕のスーツケースなど、著名人ゆかりのカバンが展示してあったことも興味深かった。

博物館の上の8階には展望ラウンジがあって、外を眺めながら休憩することができる。このラウンジからは、今建設中の東京スカイツリーがよく見える……。


世界のカバン博物館
10:00〜16:30 土・日・祝休館(夏季/年末年始及び不定休有)
東京都台東区駒形1-8-10
03-3847-5680
http://www.ace.jp/museum/index.html

2012年1月14日土曜日

自宅の放射線量を測った

自宅(関東の)のある千葉県船橋市で放射線測定器の貸し出しが始まったので、借りて自宅周辺を測定してみた。

自宅のある船橋市北部は、柏〜松戸の「常磐ホットスポット」の淵にあたり、これまで市や一般市民の測定で、それなりに高い値が出ている地域である。昨年10月には、それほど遠くないアンデルセン公園で毎時5.82マイクロシーベルトが検出されてニュースにもなったくらいだから、心配はしていた。

測定した結果、室内は最高で毎時0.12マイクロシーベルト近い値の場所があったものの、平均して毎時0.1マイクロシーベルトを下回った。室外の庭では、最高で毎時0.15マイクロシーベルト近い値の場所があったものの、平均して毎時0.1程度に収まったので、まずは一安心といったところだ。

貸し出しているのは堀場製作所の「HORIBA PA-1000 Radi」。
シンチレーション式なので、ガイガーよりも高感度だが、
もともと自然界からの環境放射線測定を目的としてつくられたものらしい。

室内は、おおむね毎時0.1マイクロシーベルトを下回ったが……
ガレージ下の排水溝近くでは毎時1マイクロを越えた!

ただ、ガレージ屋根からの雨水がたまる排水溝近くの地上高約5センチメートルでは、毎時1マイクロシーベルトを越えた場所があり、玄関門扉近くの雨水がたまりやすい場所でも毎時0.6マイクロシーベルトを越えるなど、局所的には気になる場所もあった。

本を処分する

BOOKOFFに出張買い取りに来てもらって、本を引き取ってもらった。
宮古島引越に備えて身を軽くするためだ。

今回は連れ合い猫の本を中心に、段ボール箱で30箱以上、軽ワゴン2台分の本を処分して買い取ってくれた金額は1万円とちょっと。本を買うのに投資した金額からすると……

かつては書棚を本でいっぱいにすることに喜びを感じていたが、3.11以後、そんな気はまったくなくなってしまった。


2012年1月11日水曜日

東京スカイツリー

スーツケースのキャスターが壊れたので、修理してもらうために、浅草にある製造元のカスタマーセンターを訪れた。(それにしてもスーツケースをよく壊す。使い方が荒いのかな!?)

その帰りに隅田川の駒形橋から東京スカイツリーを眺めた。

東京スカイツリーは、JR総武線や東京メトロ東西線から何度も見ているが、その度に「なんと醜い塔なのだろう」とため息がもれる。優美でもなく、未来的な斬新さもなく、天に向かっていく伸びやかさもなく、デザイン的アピールポイントもなく、無骨で、重々しい。これなら、高さを「競った」中国広東省の広州塔の方が、デザインアピールもあり、伸びやかでもあり、数倍美しいと思う。
光が当たっていない時は、灰色で不気味

光があたると白く輝くが、なんか安っぽい
隅田川沿いのベンチ。
最近、東京では、「ホームレス対策」なのか
写真のような「くつろげない」形状の
ベンチが増えている。
なんと弱者に「優しくない」都市だ!!


2012年1月8日日曜日

千葉の飲食店〜メイサイストアー(北習志野)

千葉県船橋市、新京成電鉄と東葉高速鉄道の北習志野駅近くにあるタイ料理の店「メイサイストアー」のバイキングに行った。毎月第2日曜日だけ行われるバイキングは、味、種類とも大満足で、毎月楽しみにしており、宮古島に引越したら行けなくなるのが残念だ。「メイサイストアー」の支店でも宮古島に作ってくれないかな。タイの人にとっても、関東より過ごしやすいだろうし。タイといえば、沖縄の泡盛のふるさとみたいなもの。食材も似たものがあるし、沖縄にも絶対に合うと思うのだが。


メイサイストアー
千葉県船橋市習志野台2-48-17 大興ビル2階
047-468-2441
ランチ11:30〜15:00(LO14:30) ディナー17:00〜23:00(LO22:30)
月曜定休

2012年1月6日金曜日

寒の入り

今日6日は小寒で、いよいよ寒の入り。
宮古島も最低気温が13℃まで下がり、
寒いそうである。
それでもこちら(関東)の最高気温より高いのだから、
そうとう暖かいはず。
ところが、宮古島気象台が観測した、
歴代最低気温は1967年に記録した6.9℃だという。
それでもこちらより暖かいが、
地球温暖化のおかげ?で、
そんな気温にならないことを祈る。

2012年1月3日火曜日

千葉の菓子〜オランダ家「とろける生ショコラ」

1月3日の千葉県船橋市の気温=4℃(最低)/10℃(最高)
宮古島の気温=16℃/20℃

寒い寒い関東で年越しした、ぶらぶら猫は、地元、千葉県のお菓子屋さん「オランダ家」の、元旦〜3日限定発売の「とろける生ショコラ」を買ってみた。
これが、ガトーショコラ好きのぶらぶら猫にとっても、なかなかおいしかった。

「お年賀」と入ったパッケージ

「龍」ならぬ、「タツノオトシゴ」の絵が…

「絆」よりも「連帯」へ


先に、「絆」が叫ばれることへの疑問について書いたが、同様に絆連呼への違和感について、精神科医の斉藤環氏が昨年12月の毎日新聞に書いている。

「絆は基本的にプライベートな「人」や「場所」などとの関係性を意味しており、パブリックな関係をそう呼ぶことは少ない。つまり絆に注目しすぎると、「世間」は見えても「社会」は見えにくくなる、という認知バイアスが生じやすくなるのだこれを仮に「絆バイアス」と名付けよう。
 絆バイアスのもとで、人々はいっそう自助努力に励むだろう。たとえ社会やシステムに不満があっても、「社会とはそういうものだ」という諦観が、絆をいっそう深めてくれる。そう、私には絆という言葉が、どうしようもない社会を前提とした自衛ネットワークにしか思えないのだ。
 それは現場で黙々と復興にいそしむ人々を強力に支えるだろう。しかし社会やシステムに対して異議申し立てをしようという声は、絆の中で抑え込まれてしまう。対抗運動のための連帯は、そこからは生まれようがない。」

まさに、責任と原因を正しく追及することもなく、「仕方がない、耐えて耐えてがんばろう」という諦めをともなった叫び、あるいは真実から目をそらすためのプロパガンダに思えてならない。

3.11以後、日本人のモラルの高さを賞賛する記事があふれた。外国メディアも暴動も起こさず、礼儀正しくふるまう震災後の日本人の姿を賞賛していると紹介され、多くの日本人がそれを誇りに思っていると。

しかし、どんな理不尽なふるまいを受けても、耐えて耐えて何もしないことが、モラルの高さの証明になるのだろうか?
日本人のモラルが本当に高いのなら、この国で起きている以下のことは、どのように証明されるというのだろうか?

・一向に減らない弱者を食い物にする「オレオレ詐欺」「振り込め詐欺」
・OECD平均をはるかに上回る相対的貧困率16%(2010年調査)=同胞の多くが所得が少なくても平気でいられる態度
・先進国でも類い稀な「逆進的」といえる所得再分配制度=課税前よりも課税後の方が、格差が拡大
・過酷な派遣労働と過労死を招く正社員労働=労働権を無視した、労働者を物と同様に扱う労働環境
・ホームレスに対する社会の忌避感
・母子家庭の貧困率50%超(OECD加盟国中トップ!)=未だに両親+子の家族感から抜けられない労働家族感の画一性=社会的マイノリティーへの冷たさ

これらの問題から見えてくるのは、この国には「皆、同じように働いて、同じような家庭を持てば、そこそこ幸せになれるはずだ」という画一的労働・家族感であり、高度成長期に幸運にも、それなりに達成された「一億総中流」意識から抜けられない姿であると思う。しかし、この「一億総中流」は、経済拡大という成長過程で偶然にも得られた産物に過ぎないのであり、日本人が意識して「すべての人の豊かさと幸せ」を願った結果ではないし、制度そのものが、それを志向していたわけでもない。

成長過程の止まった今、いつまでも経済成長の夢を見るのではなく、全体でそれなりの豊かさを共有し、分配していくための社会つくりが求められるのではないか? そのため必要なのは、「絆」ではなく、社会的「連帯」の精神だ。

先に引用した記事の中で、斉藤環氏はこうも言っている。
「なかでも最大の問題は「弱者保護」である。絆という言葉にもっとも危惧を感じるとすれば、本来は政府の仕事である弱者救済までもが「家族の絆」にゆだねられてしまいかねない点だ。」

なんでもかんでも政府任せにするのがよいとは言わないが、この国の制度を、明治以来の「働かざるもの食うべからず」から、「働きたい人は働いた分だけ」「働けない人、働きたくない人も、それなりに幸せに」暮らせる社会のための制度に変えていかなければならない。そして、そのためには、家族的、強制的ニュアンスの強い「絆」ではなく、より広範な人々を社会的にゆるやかに結びつける「連帯」の精神が必要だ。欧米諸国、とくにヨーロッパの国々は、日本よりもはるかに、この「連帯」の精神が生きているように思う。

風評被害〜節電〜絆


昨年の3.11以来、NHKをはじめとするマスコミでさんざん叫ばれ、それに影響された多くの日本人が事あるごとに口にする言葉となった「風評被害」「節電」「絆」の3語。しかし、これら3語に対しては、マスコミの宣伝通りに素直に受け取る人と、受け取れない人に、日本は分断されてしまった。
3.11に関して、地震や大津波が自然災害であることに異議はないが、福島第一の原発震災に関しては、これは絶対に人災である。悪人探しや、罪を糾弾することばかりに目が向くのはよいこととは言えないが、少なくとも、最低限の責任と原因の追及はあってしかるべきである。ぶらぶら猫が3.11以後に驚き、絶望したのは、きちんとした責任と原因追及もなしに、「(たとえ毒物であっても)生産者や地域経済のために食べろ[風評被害]」「(電気は足りているのに)原発がないと大変だから節電に励め[節電]」そして「国の一大事なのだから、とにかく一致団結して忍耐強く前へ進め[絆]」という空気が支配してしまったことである。
この国は、先の大戦後も冷戦のどさくさに紛れて、きちんとした責任処理を怠り、あいまいなまま戦後史を歩んできた。今また、あいまいなままに、漠然とした「絆」スローガンとともに、おかしな道を歩もうとしている。数年後、この道が間違いだと気づいた時、大戦後に「軍部にだまされた」と言うのと同じように、人々は「だまされた」と言うのだろうか?

2012年1月1日日曜日

あけましておめでとうございます

当初の予定では、宮古島で迎える新年だったはずなのだが、事情により千葉県船橋市での年越しとなった。
昨年暮れの30日には、両親が住む東京都練馬区を訪れた。「両親が住む」とは言っても、11月に宮古島市に住民票を移動するまで、住民票を置いていた土地であるし、1995〜2006年まで12年間にわたって家族といっしょに住んだ土地でもある。ノスタルジーを感じないといえば嘘になるが、放射能汚染も気になるし、今日1日には地震もあった。
できれば今も練馬に残ることを選んだ両親にも宮古島に来てほしいのだが、価値観の相違だけは、親子の間でもいかんともしがたいものがある(せめて、相変わらず社説でとんでもないことばかり書いている読売新聞を読むのだけはやめてほしい……)。
東京都練馬区のとある団地。ぶらぶら猫は、このタワーの28階に住んでいた。
徒歩圏内にあらゆる施設がそろっているし、大きな公園も近くにあって、
終の住処にふさわしいと思っていたのだが……